敗戦の姫ですが敵国の皇帝に狂おしく溺愛されて逃げられません
触れられるたびに、甘い波が静かに押し寄せてくる。

抗おうとしても、もう遅い。

「……っ」

思わず、彼の衣を掴んでしまう。

それだけで、蒼玄はわずかに目を細めた。

「離れるな」

低く、静かに命じる。

「俺のそばにいろ」

その言葉は、優しさではなく――確かな、独占だった。

何度も繰り返される熱の中で、私は気づいてしまう。

(……止まれない)

この人から、離れることができないことを。

そして。蒼玄もまた――

「玲華……すまない。もう手放すことなどできない」

彼は決して、私を手放すつもりなどないことを。

そしてまた私の中で果てる蒼玄がいた。

「うう……くっ……」

その度に、私は蒼玄の熱い想いを受け取っていた。
< 18 / 30 >

この作品をシェア

pagetop