敗戦の姫ですが敵国の皇帝に狂おしく溺愛されて逃げられません
白く重ねられた花嫁衣装。

その重みが、私の覚悟を示している。

そして私は今――敵国の皇帝の隣に座っている。

「玲華……」

低く、名を呼ばれる。

隣を見れば、蒼玄の視線が真っ直ぐに注がれていた。

「綺麗だ」

短い言葉。けれど、その響きは深い。

私は静かに頭を下げた。その瞬間、手を取られる。

大きな手が、指先まで絡め取るように。

逃がさないとでもいうように。

「……っ」

思わず息を呑む。

そのまま、引き寄せられるように距離が近づく。

「今夜も……」

耳元で、低く囁かれる。

「放す気にはなれない」

その言葉に、頬が熱を帯びる。

周囲に人がいることも忘れそうになるほど、その声は近くて、強かった。

広間のあちこちで、苦笑が漏れる。
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