敗戦の姫ですが敵国の皇帝に狂おしく溺愛されて逃げられません
(……綺麗……)

思わず、胸が大きく鳴る。

こんな人が――私の、夫。

その事実が、じわりと心に広がる。

すると、いつの間にか。侍女がそっと部屋を出ていく。

「え……?」

思わず振り返るが、もう姿はない。

「さすがは孟の侍女だ」

蒼玄が、わずかに口元を歪める。

「俺が来た理由を理解している」

その言葉に、心臓が跳ねた。

次の瞬間、ぐっと腕を引かれる。

「……っ」

気づいた時には、寝台の上にいた。

見下ろされる視線。逃げ場のない距離。

「やだ……まだ、着いたばかりなのに……」

思わず言葉が漏れる。だが――

「お前は、俺の妃だ」

低く、はっきりと告げられる。

「俺の望む時に、そばにいる」

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