家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
「巳影くん、頭をもう少し真っ直ぐにできるかい?」

 神社の境内に並んだ三人の前で、カメラを構えるのは明莉の父だ。

 彼もフォーマルなスーツスタイルだが、スマホを向けながら、少し苦笑して巳影に要求した。

 受け付けを済ませて待つ間、記念写真を撮ることにしたのだが、撮影してくれる明莉の父は、ポーズが気になるようだ。

 明莉が莉奈を抱き、巳影がそれに寄り添って立つポージングだ。

 しかしどうも、巳影の立ち位置が近すぎるらしい。

「すみません。……このくらいでしょうか?」

 巳影は気まずげに笑ったようだ。

 体勢を少し直す。

 寄り添っている明莉にもなんとなくそう察せて、微笑ましい気持ちになる。

 自分と莉奈をとても大切にしてくれるから、ついつい近くで写りたくなるのだろう。
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