家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
 だが少し距離がある。

 細部までは見えなかった。

 よって、よく見せるためだろう。

 父がこちらへ歩き出しかけたのだが、そこでスタッフが近付いてきた。

「ご準備が整いました。どうぞ、こちらへ」

 明莉はちょっと惜しくなった。

 お宮参りのご祈祷自体は楽しみだが、写真の確認は後回しだ。

 きっと巳影や祖父母もそう思っただろう。

「あとでゆっくり見せていただこうか。行こう」

 巳影も惜しそうな声で言い、それでも明莉の肩に腕を回した。

 その通り、写真はあとでも見られる。

 むしろゆっくり見られて良いだろう。

「すぐ横に砂利があるから、気を付けてな」

 莉奈を抱いて歩き出した明莉が転ばないように、巳影がしっかり肩を抱いてエスコートしてくれる。

 舗装された通路を歩いていても、足を踏み外さないか、心配してくれるのだ。

 ちょっと過保護ともいえるけれど、もちろん明莉はとても嬉しくなってしまった。

「本当に仲睦まじいわね」

 そんな二人のうしろからついてくる明莉の母が、しみじみと言った。

 父や辰巳たちも口々に同意してくれるのが聞こえるので、幸せな中に、ちょっとの気恥ずかしさまで感じた明莉だった。
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