家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
(昨日の夜のこと? 確かに酔いで曖昧な部分はあるけど……?)

 頭の中で不思議に思う。

 自分が酔っていたのは明らかだっただろうに、わざわざ確認するように言うことだろうか?

 そう思いつつも、聞かれたのだから答えようと思った。

 でも口に出す前に、彼が頬を緩めた。

 その表情はなぜかちょっと切なげだ、と明莉の目に映った。

「……いや、いいんだ。では改めて言わせてもらおう」

 そんな不思議な表情で、彼は質問を終わらせた。

 言葉通りに、改まった様子になる。

 そしてベッドのすぐ横へやってきた。

 距離が近くなったことと、一体なにを言われるのか、ということに、明莉は緊張を覚えてしまう。

 だが彼はスッと腰を落として、ベッドの端に座る明莉の前へひざまずいた。

 意外な行動に目を見張った明莉の手を、そっと取る。

 真っ直ぐに明莉を見つめ、ゆっくりと言った。

「昨夜、会えたのも運命だ。明莉、俺と結婚してほしい」
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