恋愛はめんどくさい!
第六話 一年生の噂話
あれから星川先輩とは一緒に帰るようになった。
自然と話すことも増えて、先輩の人となりもだいぶ分かってきた。ピアノを習っていたこと、県内をあちこち散策していること、かわいいものが好きなこと……しっくりくることもあれば、意外な一面もあった。
とにかく、「星川翔太」という人物の全体像が見えてくることが、とても楽しかった。
だけど……
最初の数日は誰も気づいていないように思えたが、もちろんそんなはずがない。噂というものは、見えないところで少しずつ、時には急速に広がっていく。
「ねえ、あれってさ……」
「えー、なにそれほんと?」
「なんか、一緒に帰ってるらしいよ」
廊下の立ち話の中から、そんな声が聞こえてくることがある。
わざと聞こえるように言っているのか、ただの偶然なのかはわからない。だけど、確実に私の耳に入ってきている。
ほとんどの人はやや好意的か無関心といった感じで、私への態度が変わるようなことはなかった。
けれど、中には――
「いや、さすがにアレはないでしょ」
「身の程知らず、って感じ?」
「わたし、罰ゲームだと思ってた」
そんな言葉をわざとらしく言う人もいた。
予想通りである。
まあ、こんなの中学の頃に比べれば蚊に刺されたようなものだが、だからといって、なんとも思わないというわけではない。
こんなとき私は、何も言わない、というか言えないのだが、恵は黙っていなかった。
「なんか、聞こえてるんだけど?」
「はぁ? あんたには関係ないでしょう」
相手の言い方にムッときたのか、恵はじっとその子の顔を見て、目を逸らさずに問い詰める。
「ん? なにムキになってんの? 私にもわかるように聞かせてほしいなー」
相手は視線が定まらず、かなり動揺している。
「……もう、何なのよ! 別に大沼さんのことだなんて言ってないでしょ!」
彼女はそう言った後、ハッとなって気まずそうな顔をした。
「……もう、知らないわよ!」
女の子たちはバツが悪くなったのか、そそくさと退散していった。
「アホか、あいつら」
恵は強い。しかも、いつも私の味方でいてくれる。そのことには、ほんとに感謝している。
その日はもう、噂を耳にすることはなかった。
自然と話すことも増えて、先輩の人となりもだいぶ分かってきた。ピアノを習っていたこと、県内をあちこち散策していること、かわいいものが好きなこと……しっくりくることもあれば、意外な一面もあった。
とにかく、「星川翔太」という人物の全体像が見えてくることが、とても楽しかった。
だけど……
最初の数日は誰も気づいていないように思えたが、もちろんそんなはずがない。噂というものは、見えないところで少しずつ、時には急速に広がっていく。
「ねえ、あれってさ……」
「えー、なにそれほんと?」
「なんか、一緒に帰ってるらしいよ」
廊下の立ち話の中から、そんな声が聞こえてくることがある。
わざと聞こえるように言っているのか、ただの偶然なのかはわからない。だけど、確実に私の耳に入ってきている。
ほとんどの人はやや好意的か無関心といった感じで、私への態度が変わるようなことはなかった。
けれど、中には――
「いや、さすがにアレはないでしょ」
「身の程知らず、って感じ?」
「わたし、罰ゲームだと思ってた」
そんな言葉をわざとらしく言う人もいた。
予想通りである。
まあ、こんなの中学の頃に比べれば蚊に刺されたようなものだが、だからといって、なんとも思わないというわけではない。
こんなとき私は、何も言わない、というか言えないのだが、恵は黙っていなかった。
「なんか、聞こえてるんだけど?」
「はぁ? あんたには関係ないでしょう」
相手の言い方にムッときたのか、恵はじっとその子の顔を見て、目を逸らさずに問い詰める。
「ん? なにムキになってんの? 私にもわかるように聞かせてほしいなー」
相手は視線が定まらず、かなり動揺している。
「……もう、何なのよ! 別に大沼さんのことだなんて言ってないでしょ!」
彼女はそう言った後、ハッとなって気まずそうな顔をした。
「……もう、知らないわよ!」
女の子たちはバツが悪くなったのか、そそくさと退散していった。
「アホか、あいつら」
恵は強い。しかも、いつも私の味方でいてくれる。そのことには、ほんとに感謝している。
その日はもう、噂を耳にすることはなかった。