恋愛はめんどくさい!

 私は恵の顔を見て言った。

「恵、本当にありがとう」
「そんな改まって言うことじゃないって」
「私、今までちゃんと言ってなかったな、って思って……」

 私は、中学生の時は人間関係がうまくいかずに苦労した。恵が助けてくれなかったら、どうなっていたかわからない。
 そして、恵もまた同じような境遇だった。
 彼女の場合は、自分が正しいと思ったことは譲らない、という性格が主な要因だった。恵に対する周りの当たりは、私よりもひどかったように思う。
 それでも、恵はずっと私を支えてくれていた。

「私だって、京子には感謝してる。いつも味方だったし」
「でも、私は何もしてないよ」
「京子は私が暴走しないようにするのが役目」

 そう言われて、思わず納得してしまった。

「……なるほど。そうだったんだ……」
「いや、知らんけど」
「え? もう、ちょっとぉ……」

 恵は笑っている。いつもの屈託のない笑顔で。

 軽く背伸びをしながら、恵は言った。

「じゃあ、この話はこれでおしまい」
「うん」
「帰ろっか」

 私たちは部室を後にした。


 暗くなった駅までの道を、二人で歩いた。
 高校受験のときの話になった。

 よく二人で勉強した。恵は私よりもずっと成績が良かったから、たくさん教えてもらった。
 恵が希望していた浅岡高校は、私には厳しいだろうと言われた。だから、合格できたことはとても嬉しかった。
 いや、合格したという事実よりも、恵と同じ高校に行けることが嬉しかったのかもしれない。

 駅までの道のりは、あっという間だった。
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