恋愛はめんどくさい!

 喫茶店を出た後は、昔の街道に沿って辺りを散策した。
 まるで江戸時代にタイムスリップしたみたい……は言いすぎだが、思っていたよりは非現実感があり、退屈しなかった。
 風が少し冷たかったけれど、日差しは柔らかくて気持ちよかった。

 先輩は言った。

「こういった場所に来ると、日本っていいところだよな、って思うよ」
「そうだけど、私は今の快適な生活環境じゃないとダメかな」
「確かに。まったく、人間はわがままだよね」

 先輩は笑っていた。

 最近思うのは、私と先輩は考え方や感じ方も似ているのではないか、ということだ。興味の対象だけではなく。
 付き合い始めた頃は、勘がいい、察しがいい、洞察力が高いというイメージだった。もちろんそれもあるとは思うが、根本的なところで思考が似ているように思う。

「なんか……不思議ですね」
「何が?」
「こうやって先輩と遠くまで来てるのが、まだ実感なくて」

 先輩は少し笑って、空を見あげた。
 その横顔は、いつもより少し大人びて見えた。
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