恋愛はめんどくさい!

第八話 夕暮れの城下町

 私たちは人がいなくなった小さな木造の無人休憩所で、外の景色を眺めていた。まだそれほど暗くはないが、城下町の街灯には明かりが灯り始める。

 夕暮れが、訪れようとしていた。

 ふと、ずっと気になっていたことを思い出した。そして、気が緩んでいたせいか、普段なら絶対に口に出さないはずなのに、自分でも驚くほど自然と口を開いてしまった。

「……先輩は、私の見た目をどう思いますか?」

 言った後で、「しまった」と思った。
 こんなの、答えようがないとわかっている。肯定しても否定しても、お互い気まずくなるだけなのに……

 でも、微かな期待、というか、知りたいという気持ちもあった。

 先輩なら何て言うのだろうか、と。

 先輩は最初は戸惑っていたが、少し考えてから、ゆっくりと言葉を選ぶように話し始めた。

「普通に、かわいいと思うよ」

「そうですか……」

 予想していた答えの一つだった。でも、先輩ならそんな誤魔化すようなことは言わないだろう、とも思っていた。
 聞きたかったのは、そんな答えではなかった。

 私は、先輩から顔を背けたまま呟いた。

「別に、本当のことを言っていいんですよ。それで私が先輩を――」
「大沼さん!」

 私の言葉を遮って、先輩は強い口調で言った。いつもと違うその言い方に、驚いた。

 私は先輩の顔を見た。
 真剣な表情だった。

「大沼さんの言いたいことはわかります。……要するに、えーと……見た目を肯定的に言われることが嫌なんですよね。自分でそう思っていないから」

「……」

 ちょっとムッときた。そこまではっきり言うんだ、この人は。……まあ、間違ってはいないし、話を振ったのは私だけど……
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