恋愛はめんどくさい!

 先輩は少し申し訳なさそうに言った。

「……ごめん、ちょっと強く言い過ぎた……」

 私は泣いていた。

「……ううん、違うの。全然いいの。あれ、なんでだろう……何で泣いてるんだろうね……」

 声を出した途端、みっともないくらいに、ボロボロと涙が溢れてきた。

 俯いた。

 「早く涙よ止まれ」と、思っていた――


 どのくらいの時間が過ぎただろう。
 私は顔を上げて、先輩に言った。

 精一杯の笑顔で。

「あの写真の先輩がここまでイケメンになるなんて、人ってこんなに変われるんですね」

「……それは……喜んで、いいのかなあ?」

 そう答えた先輩の表情は、その言葉とは裏腹に、いつもの素敵な笑顔だった。

 外はすっかり、日が暮れていた。


 帰りの電車の中。
 お互いに疲れていたらしく、椅子に座った途端に二人とも眠っていた。

 私は途中で目が覚めた。先輩はまだ寝ている。

 先輩の言葉を、思い出していた。

 ずっと頭の中にあったモヤモヤが、今はすっかりなくなっているように思えた。

 先輩と出会えて良かった。

 眠っている横顔を見ながら、そう思った。
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