皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「この婚約を受け入れたのは俺の意思だ。無理強いされたわけじゃない。選択の余地がなかったのは……カナック伯爵夫妻の件があった君だろう」


「でも、噂が……」


「知っている、それは……恥をさらすようだが俺の義母の実家がメリハ族を疎んでいる。どうもメリハ族と争った過去があるらしくてな。その刷り込みなのか、義母もあまりメリハ族に良い印象を抱いていない……愚かな話だ」


公爵や彼は義母や義母の実家ミラヴ侯爵家に過去何度かメリハ族の説明をして愚かな真似はしないよう諭しているが表面的にしか理解されていないという。

私をトゥーイッラ公爵夫妻に引き合わせないのもそれが原因らしい。

ちなみに義父は私にとても会いたがっているそうだ。

結局義母の態度の問題がトゥーイッラ公爵家のメリハ族嫌いという噂になり、ひとり歩きしているそうだ。

義父も彼も噂をきちんと否定しているが、義母の件があり信憑性がないらしい。


「不快な思いをさせて悪かった……俺は君を迷惑なんて思っていない。大切に、したいんだ」


「じゃあ薬の件は?」


「義母は今、友人宅から別領地に移動したが、義母の侍女たちは一部屋敷内におり、義母の命令で君について調べている。表立って馬鹿な真似はしないだろうが、義母に余計な情報を与えたくない。元々メリハ族の件もあり、義母にとっては、俺こそ邪魔な存在だろうからな」


自嘲気味に話す彼になにを口にすればいいか迷う。

時折感じていた視線はそのせいだったのか。
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