皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
悲嘆の滲む複雑な表情のアレン様に、できるだけ明るい声で説明する。

体調管理が甘かったのは私の責任で、これほど迷惑をかけるなら秘密を伝えておくべきだった。


「……メリハ族について俺に打ち明けたり、知られるのは、やはり嫌か」


視線を下に向け、掠れた声で尋ねられ、一瞬返答に迷う。


「いいえ、その、むしろアレン様にご負担なのではないかと」


「なんで俺が?」


勢いよく顔を上げた彼が、眉間に皺を寄せ不思議そうに首を傾げる。

心底わからないと言った口調に逆に驚く。

答えずに逡巡していれば、どういう意味なのかと再び説明を求められた。

一瞬、言い訳などを考えたが、もうこの際正直にすべてを打ち明けるべきではと思った。

私から婚約は破棄できず、運命の伴侶でもある彼とはこの先もずっと関わっていく。

ありのままを話したほうがずっと居心地が良く、お互いの距離も少しは近づくのではないか。

でも、逆に怒らせてしまう可能性はある。

怖いけれど、このままずっと彼の考えや気持ちがわからないまま生活するよりはずっといい。

せめて私の考えや思いを知ってほしい。


「メリハ族を疎まれていると、伺っています。私との関わりを最小限に留めてらっしゃるのはそのせいですよね。皇帝陛下のご命令とはいえ、この婚姻が意に染まぬものなのはわかっています。私の保護と隣国からの縁談がなければアレン様は自由に……」


「違う!」


想う方と結婚ができたのに、と続けるはずの言葉が彼の大きな声で遮られた。
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