皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「そもそも王太合を慕っている義母はこの婚姻を祝福していない。だが、皇帝命令である以上公に反対できない。そのため義母の反応や振る舞いに注意を払っていた。君に冷たく接していたわけじゃないが、結果としてそう思わせてしまった。悪かった」


言いづらそうに彼が言葉を紡ぐ。


「君が倒れたとき、ギルハンやケティ、メアリから色々聞いた。不慣れな新しい生活に必死に馴染もうと努力してくれて、屋敷内の人間にも気を配ってくれていた件も。俺は言葉も配慮も足りないと言われた」


ちなみに薬を取り上げた日は私が黙って出ていくのを恐れたらしい。

狙われる可能性も高く心配も募り、普段以上にキツイ言い方をしてしまったそうだ。


「だが、俺の日々の態度からすれば出て行きたくもなるよな……悪かった」


「あの、じゃあお見送りの挨拶が不要とおっしゃったのは……」


「あれは、食事をゆっくりとって欲しかったし、君に負担をかけたくなかったから」


優しい配慮に胸が詰まって、心の中に温かな気持ちが広がっていく。

嫌われて、避けられていると考えていた事柄のひとつひとつを尋ねてみれば、きちんと答え、説明してくれる。

しかもほとんど私の誤解だった。


「嫌な思いをさせて本当に悪かった」


再び真摯に謝罪してくれる姿に胸が震え、視界が滲む。

頬を流れる滴を彼の骨張った指がぎこちなく拭う。


「……泣かないで。これからはきちんと話すと誓うから。お詫びをさせてほしい」


「いいえ、そんな」


何回か断ったが、気がすまないからと引かない彼にひとつの願いを申し出た。
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