皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「……綺麗だ」


「あ、ありがとうございます。その、アレン様もとても素敵です」


真っ直ぐな賛辞に頬が熱を帯びる。

普段以上に凜々しく華々しい姿を直視できず、うつむいたまま告げる。

するとレースの手袋に包まれた手を取られ、階下、そして馬車へと優しくエスコートされる。

馬車の中、対面に腰を下ろした彼がヴェール越しに私をじっと見つめる。


「あ、あの……なにか」


「ヴェールを外したキラナを見たいんだが……難しそうだな。ケティが怒りそうだ」


私たちの婚姻は関係者を除き、公にしていないため、神殿には私たちふたりと護衛の従者のみで向かう。

そのためメイクや髪が崩れても戻せないため、くれぐれも気をつけるよう言われていた。

花婿は司祭の祈りの後、初めてヴェールを外した花嫁に対面できる慣習があるため、花嫁は式典開始時は花婿に面差しを見せないのが通常だ。

残念そうに肩をすくめた彼が、少し表情を引き締めて口を開く。


「キラナも知っているとおり神殿は各国において中立、帝国や皇帝の管轄外になる。精霊王子がかつて愛したメリハ姫が信仰対象の神殿内の人間にとって、姫の外見に酷似したキラナは崇高な存在だ。不埒な手出しや干渉はないと思うがどうか気をつけてほしい」


「はい。司祭様たちは私がメリハ族の末裔とご存知なのですよね」


「ああ、正式な婚姻を結ぶためキラナと俺の出自は正確に伝えてある。神殿側はキラナの保護や神事への参加を熱望していたが断っている。運命の伴侶なので婚姻を急いだと説明している。長居はしないつもりだが怪しまれないよう行動してほしい」


「わかりました」
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