皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
私の母方の一族は薬師として、メリハ族の血統を密やかに守ってきたという。

私は祖父母、母以外の同族を知らず、存在するのかもわからない。

この国で代々続く名家タルバ侯爵家の次男だった父、ワクスは、貴族社会の考えや暮らしが性に合わず、魔術騎士団に所属し騎士団長まで実力で上り詰めたそうだ。

騎士団の遠征先で母、リラに出会ったが、身分差のため父の実家に結婚を反対され引き離されそうになったという。

駆けおち寸前で、騎士団長としての実績と実力、信頼からウキヌの森辺境伯の地位と国境防衛の命を賜り、皇帝陛下より結婚を許されたらしい。

そのせいもあり侯爵家との折り合いは悪く、交流は皆無に等しかった。

父がタルバの家名を選ばず、フォーリという新たな家名を選んだのも侯爵家は気に入らなかったのだろう。

辺境伯の地位は一代限りのため、現在の私は形式的には平民になり、領地は帝国預かりとなっている。

今後私が貴族に嫁いだ際は領地が返還される可能性があるそうだが、領民が幸せに暮らしてくれているのならばこのままでいい。

元々辺境から出ず、貴族社会と離れて暮らしていた私は地位などほしくない。

だがタルバ侯爵家は納得せず、亡き息子の領地は自分たちのもので、血縁である自分たちが私の後見人になり領地を管理すべきと訴え続けているそうだ。

すでにトルン医師の後見が決定していたため、訴えは退けられ安心した。

ちなみに侯爵家は私がメリハ族の血を引いているのを知らない。
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