皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
アレン様がイスズ様の願いを叶えたいと思うのは当然だ。

本来ならここにいたのはイスズ様で、アレン様こそ無理を強いられているのに。

彼の一番大切な人はイスズ様なのを、どうして忘れていたのか。

最近ずっと優しく親切にしてくださっていたのは、私の体調不良に責任を感じているから。

私たちの間に恋情は存在しないし、望まれてもいない。

わかっているのに、なぜこんなに心がざわめくのだろう。

ヴェールをしていて良かった。

情けない表情を見られずにすむ。

私は運命の伴侶である前に、お互いの利益を守るための政略結婚相手だ。

与えられた役割を完璧にこなさなければ。

強張る頬を動かして必死に口角を上げる。


「近々お会いできるのを楽しみにしています」


その後、当たり障りのない会話をしている間に、馬車は神殿へと到着した。

多くの司祭をはじめとした神殿関係者に迎えられる。

馬車を降りた途端、アレン様の魔力が重く緊張したものに変化していくのを感じた。

しっかりしなければと言い聞かせ、案内してくれる司祭の後を彼とともに歩く。

過剰な注目を避けるため、最小限の関係者のみで結婚式が行われる。

長老大司祭は私を慈愛に満ちた目で見つめ、心からの祝福をくださった。
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