皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
いつの間にか寝入っていた私のヴェールを外して、アレン様がベッドに運んでくれていた。

大事な初夜、しかも報告帰りの彼の手を煩わせ、二重の申し訳なさで血の気が引く。

謝罪を口にするも、疲れているだろうと逆に労られてますます居たたまれない。

入浴後らしきアレン様は私の髪に躊躇いなく触れ、自身の面差しを傾けて、半身を起こした私を見つめる。


「……俺たちは夫婦になった。もう、引き返せない」


「わかっています。私は、アレン様が運命の伴侶でよかったです」


確認するような物言いに、心からの気持ちをはっきり伝える。

端的な言葉と素っ気ない仕草、整いすぎた容貌は一見とても近寄りがたい。

でも本当の彼はとても温かくて思いやり深い。


「抱くつもりはない。だが、余計な詮索を避けるため多く魔力は注いでおく。俺の色に染まるように」


互いの身も心も真実結ばれたときに、私の目は伴侶の色に定着する。

けれど、伴侶の魔力を一定量以上受けとめた際も一時的に変化すると、私が母に教わったようにプラント公爵令息から聞いたそうだ。

さらに口づけで魔力を送るのが一番効率が良いらしい。

さすがに母の日記にもそんな記載はなかった。

近づく端整な面差しに体が緊張で強張る。

長い指が私の耳の後ろに差し込まれ、後頭部を引き寄せられる。

そっと唇をただ重ねるだけの優しい口づけを数回交わした後、ほんの少し唇を離したアレン様が私の目を覗き込む。

近すぎる触れ合いに鼓動が忙しなく暴れ回り、頬が熱くなる。

私の緊張を察したのか、ほんの少し眦を下げた彼が小さく甘い声で命令する。
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