皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
グリナダ王国は、神官を通せば婚姻を邪魔できると踏んだのか。

存在もしない遠縁の親類をでっち上げ、婚姻許可を自分たちに取るべきだなどと訴えてきた。

キラナの母方の親族は遠縁の者も含め、全員亡くなっているというのに。


「……グリナダ王国はよほどキラナを手に入れたいようですね」


自分のものとは思えない低い声が出る。

胸の中に渦巻く怒りを制御するのが難しい。

キラナがメリハ族と知った途端、表面上では綺麗事を並べて治癒の力を虎視眈々と周囲は狙っている。


「キラナは俺の大切な妻です。絶対に渡すものか」


「無事結婚できたのだから、告白は帰って本人に伝えろよ」


ブライアンが呆れたように口にする。

殿下は小さく笑って肩をすくめていた。


「グリナダ王国王太后が自分の娘を俺と結婚させたがっていたのは事実だ。表向きは両国間との結びつきを強固なものにするため、裏では我が国への干渉力の強大化を狙って。だが、真の目的はキラナだ」


グリナダ王国には黒い噂がある。

王国というより、王太后、ひいては王太后の実家、ツヴァル公爵家だ。

ツヴァル公爵家はメリハ族の積極的な保護を掲げている。

だが一方でメリハ族を違法に囲い、虐げているという噂が後を絶たない。

メリハ族保護協会が調査チームをなんとか立ち上げ詳細を調べても、王太后の力で邪魔され、もみ消される。

そんな攻防がもう数年続いている。

一部では王太后がメリハ族を憎んでいるとさえ言われている。

グリナダ王国内で王太后の力は強大で、現国王以外止められるものはいないため、実際は彼女の思うままらしい。
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