皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
うちの義母は、王太后を姉のように慕い、今もユリハ王女を含め、個人的な交流が続いているそうだ。

厄介すぎる話に頭痛がする。

現在二十一歳のユリハ王女とは義母が積極的に仲立ちし、式典や行事関連で幾度となく引き合わされてきた。

立場上無下にはできず、一線を引いた態度で接してきたが、先方には伝わっておらず、あの婚約話が飛び出したのだ。

面倒このうえないが婚約話に乗じて、ユリハ王女近くに秘密裏に帝国の人間を潜ませられたのは幸運だった。

怪しまれないよう、今は少しずつ情報や証拠を集めている。


「ツヴァル公爵家の力は強大で、うちの四大公爵家には及ばないが財産も潤沢だ。潜ませた者は気取られないよう慎重かつ有能に行動している。メリハ族を利用して、私服を肥やしていると専らの噂だが、証拠などを掴むにはまだ時間がかかる」


ミクス殿下の言葉に唇を噛みしめる。

大切なキラナと距離を取っていたのはひとえに彼女を守るためだ。

彼女の気持ちが追いついていないのに、無理強いをしたくないのもある。

屋敷内で俺とキラナの仲が不仲であれば婚約を訝しみ、真実か確認し、破棄を目論む敵をあぶり出したかった。

そもそも直接伝えてもいない婚約や婚姻について知っている時点で怪しいのだから。

なによりキラナが直接攻撃されるのを避けたかった。
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