皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
万が一のため、婚姻が正式に成立するまで、父に頼み、義母が屋敷に戻らないよう手配していた。

だが義母は侍女を使い情報収集をし、キラナの力を調べようとしていた。

常識的に考えれば国の保護対象者について他国の皇族に伝えるなどありえないが、あの義母ならやりかねない。

野心と自分の美貌にしか興味のない女性だ。

父の愛情を得ようと躍起になっていた時期もあったが、難しいとわかった今では我が公爵家の権力をいかに手に入れるかを画策している。

そんな義母が今度はキラナの薬に目をつけた。

慌てて薬を取り上げた俺の軽率な振る舞いのせいで、たったひとりの運命を失いかけた。

青白い顔のキラナを見たときの恐怖は忘れられない。

メアリから詳細を聞き、自分の間違いを知り、彼女を看病し、目覚めた喜びに歓喜しつつもひたすら謝った。

これまで多くの敵や魔獣と闘ってきたが、彼女を失うかもと考えたときが一番怖かった。

このときほど自分の行いを後悔したことはない。

義母やグリナダ王国の詳細な事情は伏せたが、キラナにこれまでの態度を詫び、事情を説明した。

ずっと傷ついてきた彼女に、これ以上さらに怯えるような情報を伝えたくない。
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