皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
きっと前団長は俺が恋に落ちると知っていたのだろう。

砦で彼女を抱きとめて紫色の目を間近で見た瞬間、魔力が制御できなくなった。

俺が彼女の運命になれるのかと体中が歓喜に満ちあふれ、離したくないと心が叫んでいた。

触れた瞬間、抱えていた想いがはじけて、弱った体と混濁した意識の中で自分勝手な願望に溺れていた。


――絶対に誰にも譲りたくない。

俺だけを見ていて。


強い恋情と独占欲を胸に刻んで口づけた彼女は、目の前からいなくなった。

引きとめるため発した声も、伸ばした腕も届かない。


ああ、絶対に怖がらせた。

最悪だ。


やっと会えたのに、自分の感情ばかりを優先した自分に嫌気がさし後悔した。

強引な真似を謝りたい。

体が動くようになり、すぐに彼女を捜したが見つからない。

まるで最初から存在しないかのように手がかりもなく消え、絶望に打ちひしがれた。

粉々に砕けそうな心を抱え、ただもう一度会いたいと願い続けた。
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