皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
『キラナを守るためと俺の心の平穏のため』


真摯な眼差しで言い切られ、初夜から一カ月以上経った今も断り切れずにいる。

近すぎる距離にまだ順応できないうえ、彼の寝室のベッドで初夜の翌日からずっと一緒に眠っている。

まるで私を守るように、長い腕で抱きしめてくれる。

誤解してすれ違っていた日々が嘘のように、彼の腕の中は心地よく、離れがたい。

彼の前では伝えたい事柄の半分も言えずに緊張していたのに、今は話したいことがあふれてくる。

アレン様は私の体調や心の機微に、私以上に敏感に反応し、手を差し伸べてくれる。

忙しい身なのに、私のために時間を割くのをいとわず、私が彼の目の色を纏うのをとても喜んでくれる。

整った容貌を柔らかく緩めて名を呼ばれるたび、嬉しさや喜び、甘い胸の痛みに襲われる。

新たな彼を知るたびに心は震え、もっと知りたいと願う。

胸の奥底から湧き上がるこの感情に、私はまだ明確な名前をつけられていない。

最近はヴェールをあまり使っていないが、贈られた腕輪と結婚式で婚姻の証として交換した指輪は肌身離さず身につけている。

生活必需品ほぼすべて彼が用意してくれており、嬉しくありがたいが、同時に申し訳なさも大きかった。

昨今では婚姻時両家や当人同士などお互いに準備し合うのは珍しくない。

とくに市井では女性が職を得ている場合が多く、貴族よりその傾向は強い。

私は薬師として働いており潤沢ではないが、貯蓄もある。
< 130 / 147 >

この作品をシェア

pagetop