皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
グリナダ王国に多いと聞く、艶やかな赤い髪を完璧に結い上げ、流行を取り入れたドレスに身を包んだ義母はとても美しい人だった。

ほっそりした面差しに施された化粧もよく似合っている。

アレン様と私の結婚に祝いの言葉を贈ってくれながらも、眼差しは冷たく鋭かった。

一方、彼に似た面差しの義父は朗らかに声をかけてくださり、結婚をとても喜んでくださった。

顔合わせを兼ねた夕食を終え、お茶をいただいていた際、義母から近々親交を深めるためにとお茶会に誘われ、お受けした。

アレン様は私の体調が最優先なので断わる場合もあると義母に釘をさしていた。

義母は一瞬目を細め、彼を一瞥した後、疲れたからと先に自室へと引き上げて行った。


「――行ってくる。なにかあればすぐに連絡を」


彼の声にハッと過去の記憶から意識が引き戻される。


「はい、行ってらっしゃいませ」


内心の焦りを隠しつつ見送る私の右腕を、そっとアレン様が持ち上げる。

そして腕輪を少しずらして痣に口づけ、最後に啄むようなキスを唇に落として寝室から出て行く。

これまた日課になりつつある甘い仕草のひとつだ。

落ち着かない鼓動を抱えながらすでに見えない彼の後ろ姿を思い出す。

今、離れたばかりなのに、どうしてこんなにもすぐ会いたくなって、触れたくなるのだろう。
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