皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「大奥様は王女様と積もるお話があるため、先に出られるそうです」


ケティがため息まじりに口にする。

恐らくケティや屋敷の者たちにとって予期せぬ行動の連続なのだろう。

ケティはボルトに義母の見送りを託し、ギルハンにお茶会の件について知らせる手配をしてくれたらしい。


「アレン様が今日早めに出かけられたのも、もしや王女様関連なのでしょうか……」


「いいえ、王女様の情報はまだ届いていなかったはずです。もしアレン様がご存知でしたらキラナ奥様におっしゃるか私たちに注意を伝えたはずですよ」


メアリの憂いをケティが否定する。


「心配してくれてありがとう。王女様やお義母様をお待たせするわけにいかないから準備して皇城へ向かいます」


湧き上がる不安を押し込めて、ふたりを安心させるように言い切る。

アン義母やアレン様が私のために誂えてくださっていたドレスの中から、華美すぎないデザインのものを選び、髪型を整え、ヴェールをつけてメアリとともに馬車に乗り込んだ。

万が一のためメアリは私に付き添うと強く主張してくれた。


「キラナ奥様、本当に気をつけてくださいね。私はお傍に控えるつもりですが……」


「大丈夫。心配してくれてありがとう。もしものときはトルン医師に助けを求めてね」


確認する私にメアリは強くうなずく。

アレン様と連絡が取れない場合、私の体質を理解しているトルン医師を頼るようメアリに伝えていたのだ。

ケティはカナック伯爵家と治療院への連絡を手配してくれていた。
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