皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
自分の鼓動が強く耳に響き、呼吸が苦しくなる。

好きな人を自分が苦しめている現実を受け入れられない。


「まあ、おば様、真実をはっきりお伝えしたらお気の毒よ」


労るような口調で、王女が私に微笑む。


「キラナ様、本当に綺麗な髪と目ね。先祖返りなのでしょう? そのおかげで素敵な方と婚姻して確固たる地位を手に入れたのですものね。きっととても優れた治癒能力をお持ちなんでしょうね」


「いいえ、そんなつもりは、ございません。能力も……」


荒くなる息を必死に整え、震えそうになる唇を動かしてなんとか返答する。


「あら、キラナ様。大変、顔色が悪いわ。少し待っていて」


言うが早いか、王女は優雅に立ち上がり、お茶の準備をしていた侍女からカップとソーサーを取り上げ、私の前に置き、小さめのポットを手にする。

給仕をしようとする姿に驚き、立場上許されないと腰を上げた私を王女が制す。


「お茶に誘ったのは私ですもの。おもてなしさせてちょうだい。温かい紅茶をぜひ召し上がって……きゃっ!」


カップに紅茶を注ごうとしていた王女の手からポットが滑り落ちる。

反射的に立ち上がりよけたつもりだったが、間に合わず熱めの紅茶が私の手の甲やドレスの腰より下の部分にかかる。
< 140 / 163 >

この作品をシェア

pagetop