皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「まあ、ごめんなさい! 大丈夫かしら? 大変、すぐに手当を!」


「い、いいえ、平気、です」


「そうですよ、王女様。キラナはメリハ族の直系で薬師です。自分で治せます。ねえ、キラナ?」


自分自身の治癒ができないと言うべきなのだろうか。

それとも知っていての発言なのか、判断できない。

治癒の力については他国の王族に話せない。

そんな真似をすればアレン様に迷惑をかけてしまう。

それだけは避けたい。

幸い、ポットの紅茶はそこまで熱くなく、さらに手袋とドレスの上からだったので痛みを我慢できないほどではない。

会話の流れから、ふたりが私に友好的ではなく、むしろ追い詰めたいのだとわかる。

これ以上なにかが起こる前に穏便に切り上げて退室する方法をなんとか考えなくては。

自分がなすべき事柄はわかるのに、イスズ様の件とやけどの痛みで上手く頭が働かない。

しっかりしなくては。

私が失態を犯せばアレン様の足を引っ張ってしまう。


「ユリハ王女様、ご心配ありがとうございます。私は大丈夫です。ですがドレスもこの状態でご迷惑をおかけしますので、申し訳ございませんがお暇を……」


「大丈夫ならよかった、さすがメリハ族ね。ドレスは今すぐ代わりを用意させるから。ねえ、私、キラナ様にお願いがあるのよ」


私の発言にかぶせるように王女が少し大きな声を上げる。

どうやら私がこの場を離れるのは認められないようだ。

もちろん義母は異を唱えない。
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