皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「早くしてくださらない? 痛むのよ、ほら、ここよ」


焦れたように差し出された王女の手に、震える足を叱咤し立ち上がる。

王女の患部に右手をかざし、魔力を集中させる。

ゆっくり手のひらから光が発出し、傷を淡い光が優しく包み込む。

光が消えれば治癒は終了だ。

軽いものなら指先から魔力を出せば治療できる。

人前で治癒力を使うのは母やトルン医師以外では初めてだ。

光が徐々に消え、魔力が私の体内から抜けていくのを感じた。


「まあ、綺麗に治っているわ、もう痛みもない」


興奮したように早口で話した王女はやけどのあった箇所を何度も見つめ、手を動かす。


「これなら十分ね、すぐにお母様に報告しなくては。侍女たちもよろしくね」


王女はそのままテラスを抜けて、室内へと足早に戻っていく。

入れ違うように十名近い侍女が入ってきた。

皆、一様に顔色が悪く、包帯を巻いている人もいる。


「この者たちが王女様のおっしゃっていた侍女ね。ほら、キラナ、王女様が戻る前に早くしなさい」


椅子にふんぞり返ったまま、義母が高圧的に命令する。

肩を寄せ合い怯えたように様子を窺っている侍女たちに、ゆっくり近寄って話しかける。


「はじめまして、キラナ・トゥーイッラと申します。怪我や痛み、具合の悪いところなどを教えていただけますか?」


以前、治療院や薬局で何度も患者たちに問いかけた言葉を、目の前の侍女たちに尋ねる。
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