皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「そ、そんな真似、許されるわけがないでしょう! 私を誰だと思っているの!」


「父はあなたを庇う気はなく、自業自得と言っています。グリナダ王国には正式に抗議いたします。メリハ族保護連盟からの抗議も含め、これまで御実家と行ってきた所業もすべて伝えますので御実家にはそれなりの制裁が下るはずです。御実家からの助けは期待されるだけ無駄ですよ」


「な、なんてひどい!」


「ひどいのはどちらだ? 私の大切な妻を傷つけておいて無傷でいられるとでも? 同じ目に遭わせていないだけ感謝しろ」


無表情で淡々とすごむ彼に、義母が目に見えて狼狽える。


「お、王女様っ」


「大切な来賓はこちらですよ」


朗らかな声が背後から聞こえ、少しだけ視線を動かしたところミクス皇太子殿下が王女を従えて立っていた。

王女の両隣には帝国騎士団が寄り添っている。


「私もおば様も悪くないわ! 治療は強要ではなく、お願いしたの。了承したのは彼女自身よ! 彼女のやけどは不幸な事故だし、濡れ衣よ。私を誰だと思っているの? こんな真似をして王国が黙っているはずがないわ!」


「そうよ、このお茶会も拘束して連れてきたわけじゃないわ。キラナが自分から侍女とともにやってきたの。無理やりじゃないわよ!」


王女の勢いに力を得たのか、再び義母は声を張り上げる。

自分たちが無理強いや誘拐をしたわけではないと訴え続ける。

王女と義母からは有無を言わさぬ圧力があったとはいえ、証拠はない。

やけどの件も不慮の事故、故意ではないと言われればそれまでだ。
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