皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「大丈夫です。心配ありがとうございます」


「頼むから無理をしないでほしい。キラナになにかあったら正気ではいられない」


そう言って、彼は私をさらに強く引き寄せる。

ふたりで話し合い、許可を得て明日からはメアリとともに公爵家に戻る予定だ。

王女の処遇も決まったので、皇帝陛下からの許可も下りた。

ちなみに義母は離縁を視野に領地での謹慎が決まった。

領地から出るのはもちろん、外部との接触も禁止だ。


「……明日、戻ったらキラナと本当の意味で夫婦になりたい」


低く掠れた声に鼓動がひとつ大きな音を立てた。

思わず腕の中から見上げれば、綺麗な紫色の目には色香が滲んでいる。

額、こめかみ、鼻筋にそっと落ちてくる唇の熱さに、胸が甘く締めつけられる。


「……はい、私も……」


恥ずかしさと嬉しさ、少しの期待と不安、様々な想いに翻弄されながら小さく返答する。


「ありがとう。明日が楽しみだ」


率直な物言いに頬が一気に熱くなり、心が揺さぶられる。

熱を持った顔を隠すべく、下を向けば長い彼の指に顎を掬い上げられる。


「本当に、可愛くて愛しい」


とろりと甘くささやく声に心が震え、想いがあふれ出す。

そのまま少しだけ顔を傾けた彼の艶やかな黒髪が頬を掠め、彼の唇が私のものを優しく覆う。

密やかな口づけは段々激しく長くなる。

情熱的な口づけに翻弄されたまま夜は更けていった。
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