皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
安定すれば今ほどすぐに疲弊もせず、治癒の力を使える。

とはいえ、無尽蔵には使えないため母のように薬にまぜこむなど、大勢の人に届くような方法で役に立ちたい。

病や怪我で悩み苦しむ人の支えに少しでもなれたらと願う。

恐らくアレン様同様、私の願いを見抜いている医師はとにかく今は無理をしないよう、なにかあれば遠慮なく頼るようにと厳めしい顔つきで口にする。

温かな注意に感謝を伝え、うなずいた。


「――キラナ?」


名前を呼ばれ、ハッとする。

いつの間に戻ってきていたのか、ソファの前で彼が屈んで心配そうに私を覗き込んでいた。

すでに入浴も終えたようで、いつも眠る際の装いになっている。


「どうした? 気分が悪い?」


手を伸ばし私の頬を優しく撫でる。

入浴後すぐに戻ってきてくれたのか、手はいつもより温度が高く、髪も少々濡れている。


「いいえ、すみません、少し考え事を……」


「なにかあった?」


「大丈夫です。トルン医師との会話を思い出していただけで」


「ああ……心配されていたな。大切な娘を守ると約束したのに危険にさらしたうえ助けていただいた。今度改めてご自宅にお詫びに伺うつもりだ」


当然のように告げられて驚く。

すると彼は困ったように片眉を上げる。
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