皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
出発の朝はよく晴れていて、概ね予定どおりに旅は進んでいた。

すでに皇都を出て一週間ほど経ち、王女の不満は相変わらずだったが、怪我人や病人はおらず、魔獣に襲われもせず、順調に辺境までたどり着いていた。

まるで私の専属護衛のように寄り添ってくださるイスズ様とは、旅の間たくさんの話をして以前よりずっと打ち解けていた。

イスズ様はアレン様にも優しい目を向けられるが、それは情愛より親愛に近いのか私にはまだ判断がつかない。


「アレンとキラナさんが一緒にいる姿を見るのは私も騎士団の皆も嬉しいし癒やされるの。運命の相手って素敵でしょ?」


辺境近くの宿に宿泊した際にイスズ様がふいに口にした。

アレン様の主張で妻の私は彼と一緒の部屋やテントで宿泊する場合がほとんどだが、見回りや会議などがある際はイスズ様がともにいてくださっている。


「……運命に一方的に縛られるのは嫌になったりしませんか?」


「どうして? それもひとつの運命じゃない? そもそも嫌だったら受け入れなきゃいいのよ」


「でも、強制力が強かったり周囲から無理強いされたら難しくありませんか?」


思わず普段より強い口調で本音を漏らしてしまう。

するとイスズ様が綺麗な目を丸くして私を見つめ返す。


「キラナさん、それって……」


イスズ様が問い返したとき、軽いノックの音が響き扉が開く。


「遅くなって悪い、イスズ。キラナの傍にいてくれて助かった」


部屋に帰ってきたアレン様がイスズ様に声をかける。
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