皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
トゥーイッラ魔術騎士団長を直接見かけたことはないが、父から生前幾度となく聞いていた。

トゥーイッラ魔術騎士団長は過去に例を見ない氷魔術の使い手で、類まれな魔力を持っているが、重度の魔力過多らしい。

魔力は生きていくうえで必要だが、多すぎてうまく調節できない場合は体内で詰まり自分の体を攻撃し、体調不良を起こす。

魔力は通常、呼吸のように自動的に微量を放出するなどして無意識に調節される。

そのため相手の魔力量を自然と推し量れる人も少なくない。

魔力過多体質の人は放出が追いつかず、重い場合は睡眠障害から始まり、呼吸困難、意識を失うときもある。

治療法は魔力を意識的かつ定期的に大量に発散し、コントロールする、もしくは医師や薬師処方の投薬を受けるなど人によって対処方法は異なる。

魔力過多は重度の人を除けば珍しい症例ではない。

騎士団在籍時は父も同様の不調を抱えていた経験から、砦でトゥーイッラ魔術騎士団長によく助言していたようだ。

ただ父は母と結ばれて以降、症状が出なくなったという。

母曰く、一般的にあまり知られていないが、お互いに結ばれた運命の伴侶同士であれば、魔力交換はもちろん、傍にいたり、触れ合ったりするだけで魔力が平均値の人同様に制御、コントロールなどができるそうだ。

父は母を守るため事実を伏せ、トルン医師の薬のおかげで魔力過多が改善されたと周囲に話していたらしい。
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