皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
8.たったひとりの運命side アレン
「キラナ!」


自分の叫び声が耳に大きく響く。

俺を突き飛ばし、崖下に落下していく姿が目に飛び込む。

迅速に体勢を立て直し、手を伸ばすが届かない。

そのままゆっくりと綺麗な銀髪が落ちていく光景が胸を抉り、恐怖に包まれる。

崖端まで駆け寄り、下を見下ろす俺と目が合ったキラナは、穏やかな表情を浮かべていた。


「ダメだ、待ってくれ、キラナ!」


氷魔法を展開し、落下の阻止を試みるが間に合わない。

キラナが留まるため掴むものすら発出できない。

深い崖の下には微かに水音がしている。

この距離と速度で水の中にキラナが叩きつけられる恐怖に心が凍りつく。

最悪の予想を振り切り、すぐさま追いかけて飛び降りようとした俺を騎士団の部下たちがすんでのところで必死に取り押さえた。

振り払おうとしても数人がかりで押さえ込まれ、動けなくなる。

なにが起こったのか、理解できない。

王女の護送が終わり、引き返そうとした瞬間、キラナに突き飛ばされ、キラナは光の攻撃を受けていた。


そうだ、あの光は?


振り返れば、部下たちとグリナダ王国の騎士たちが目元以外全身を黒い布で覆った怪しい十人組の男たちと対峙していた。

光の球を放つ男と剣や矢を巧みに使い分ける男たちと激しく応戦している。

黒づくめの男たちは容赦なく鋭い攻撃を展開してくる。
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