皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
目の前が真っ赤に染まった気がした。

光の珠を放つ男だけを見据えて歩く。

全身からこれ以上ないほど魔力が吹き出し、周囲を凍りつかせていくのがわかったが、構っている余裕はなかった。

すぐ近くにたどり着いたとき、すでに男の体には俺の氷がまとわりついていた。

光の珠の男は、ほかのふたりに比べ明らかに魔力量が多く、至近距離から魔術で攻撃してくるが、すぐさま素手でたたき落とす。

剣など必要ない。


「よくも……キラナを……!」


怒りのままに魔術攻撃を展開する。

一撃で男は気を失い倒れ込む。

続けて攻撃しようとしたところ、イスズが止めに入る。


「アレン! やめなさい、それ以上はダメよ!」


湧き上がる怒りを制御できず魔力放出を抑えきれず、さらに魔力を浴びせようとする俺を再び部下たちが取り押さえる。

十人の刺客らしき男たちは捕らえられ、逃げないよう魔術によって捕縛された。

俺はそんな奴らに目もくれず、崖を飛び超えて氷魔法で足場を作りながら斜面を駆け下りる。

背後からイスズや部下たちの制止と驚愕にも似た悲鳴、怒号も聞こえてきたがすべて無視した。

崖下に到着し、周囲を見回すがなにも見つからない。

ただ穏やかな水面の濃紺の湖が広がっていた。

しかし湖からは微かに淀んだ気配と魔力を感じる。
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