皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
父は騎士団の砦を訪れているとき、通信魔具を利用し、私に騎士たちをよく紹介してくれた。

毎回のように挨拶を交わす人もいたくらいだ。

魔力の多い人ならば魔池石を埋め込んだ通信魔具を使えば、離れた場所にいても会話ができる。

ただし通信魔具はとても高価で、市井ではまだまだ普及していなかった。

父は領地の人々の生活を少しでも快適にするため、便利な魔具の流通を以前から熱心に働きかけていた。

私も魔力量が多い。

力や出自を隠す手段のひとつとして、幼い頃から薬師となるべく母に学んできた。

まだまだ母の知識、経験には及ばず助手として日々修行中だ。

トルン医師と相談した翌日から、母は騎士団の砦に自前の薬を持参し、治療を開始していた。

ところが日を追うごとに母の体調が悪くなった。

これまでとは違う母の様子に心配になり、休むよう伝えた。

そして母の代理を務めたい旨をトルン医師と母に告げた。
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