皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
※ ※ ※


「私、アレン・トゥーイッラはキラナ・フォーリへ真実の愛を誓います」


セレスタ帝国四大公爵家のひとつ、トゥーイッラ公爵家の後継者、アレン・トゥーイッラは私の名を前を向いたまま呼び、冷え冷えとした声で宣言する。

ヴェール越しに斜め上をそっと見上げる。

整いすぎた面差しからは感情が窺えない。

レースの手袋をはめた私の手を彼はずっと握っている。

結婚式を取り仕切る長老大司祭が、視線で私に誓いを促す。


「私、キラナ・フォーリはアレン・トゥーイッラへの真実の愛を誓います」


なんとか絞り出した声で誓いの言葉を口にした途端、鮮やかな紫色の目を細めた彼が私に視線を向ける。

彼が嫌う、銀髪と左右で色の違う目はヴェールで隠しているのに、緊張で体が強張る。

私がメリハ族でなければ。

アレン様が運命の伴侶でなかったなら。

この婚姻は成立しなかったはずなのに。

セレスタ帝国史上最年少で魔術騎士団長に就任した長身の彼は、立っているだけで威圧感がある。

今日のために魔術騎士団の正装である黒い軍服を纏っているせいだろうか。


「トゥーイッラ魔術騎士団長、ご婚姻おめでとうございます。お帰りの準備が整いました」


一時間ほど前に結婚式を終えたばかりの私たちに年若い司祭が声をかけた。
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