皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「……本当はゆっくり休ませるべきなんだろうが」


困ったように告げる彼に小さく首を横に振り、彼の首に腕を回す。


「ずっと隣にいて抱きしめてください」


羞恥で頬が熱くなるが、素直な気持ちを伝えた。

小さく笑んだ彼が私を抱き上げたまま顔を傾け、口づける。

そして、しっかりした足取りでベッドへ運ばれ、ゆっくりと下ろされた。

覆いかぶさる彼の重みも香りもすべてが愛しくて胸の奥が締めつけられる。

甘い口づけを全身に受けとめながら、彼と過ごす時間が永遠に続くように願った。


お互いの想いを再確認し、誤解を解き合った翌朝、彼の強い願いで私たちは両親のお墓参りに向かった。

生前母が好んだ花を供え、祈りを捧げる。

最後まで深い愛を注いでくれた両親への感謝はもちろん、心から愛する人と生きることを報告する。

アレン様との出会いを知っていた母は驚きながらも喜んでくれるだろう。

両親はこことは違う世界で再会できただろうか。


「ワクス前団長……いえ、キラナのお父上、お母上。彼女を一生愛し、大切に守り抜くと誓います」


突然の宣言に目を見張る。

彼は真摯な眼差しで私を一度だけ見つめ、深く頭を下げた。


「父様、母様……私もアレンを愛しています。ふたりで幸せに生きていきます」


彼にならって頭を下げた途端、涙が地面に落ちた。

両親への誓いと挨拶を終え、帰ろうとしたとき、ざあっと強い風が吹いた。


『幸せにね』


風に乗って、一瞬母の優しい声が聞こえた気がして立ち止まる。


「……ありがとう」


小さくつぶやいて、愛しい人と指を絡めて歩き始めた。
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