皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
誰かに名前を呼ばれた気がして、ゆっくり目を開ける。

どうやら私は自室のベッドに寝ているようだ。


『キラナ、目が覚めたの!?』


ガタンと大きな音がして視線を動かせば、母がベッド近くで驚いたように立っていた。


『ああ、よかった! あなた三日間も眠っていたのよ』


『み、三日?』


驚いて、思わず声を上げればひどく頭が痛んだ。

出した声は掠れていた。


『落ち着いて、きちんと説明するから。どこかつらいところはない?』


母が、水の入ったグラスを差し出しながら問う。

半身を起こして受け取り、頭痛と体の倦怠感を伝えたところ、すぐさま母はトルン医師を呼ぶよう執事に伝えた。


『先生がすぐに来てくださるから、それまで安静にしていて』


『私はずっと眠っていたの?』


『ええ、高熱が続いて、ようやく昨夜下がったところよ』


そう言って、窓に近寄った母はカーテンを開けた。

眩しく明るい光に思わず目を細める。

どうやら私は砦から帰る馬車で、気を失ったらしい。

驚いた母はトルン医師に問い合わせたが状況がわからず、御者も詳細を知らなかった。

診察を受け、様子を見ていたところだったという。

ちなみに私が拝借したシーツは洗濯して、きちんと返却してくれたらしい。


『心配をかけてごめんなさい。母様の代理を務めると約束したのに……』


『いいのよ、無事でよかった。なにがあったのか、教えてくれる?』


ベッドサイドの椅子に腰かけた母が尋ねる。

うなずいて、私は砦での出来事をすべて話した。
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