皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
『恐らくトゥーイッラ魔術騎士団長がキラの運命の伴侶よ。肌に触れたり、魔力を感じて、ゆっくり痣が発現するのが通例みたいだけど。キラナは突発的に大きな魔力を浴びたうえ、受け入れる器がまだ未完成だったせいで倒れたんじゃないかしら』


思わず目を見開いた私に、母が静かな声で言い切る。


『治癒能力と魔力がまだ不安定な今のキラの状態で伴侶の魔力を受け取り続ければ、今回のようにまた倒れてしまう可能性が高いわ。今、トゥーイッラ魔術騎士団長にキラナを認知されるのは避けなければ』


『大げさよ、母様』


今回の件は事故のようなものなのだから、彼が私を捜さない可能性もある。

私の発言を、母がゆっくり首を横に振って否定する。


『彼はきっとキラナを捜すはずよ。稀に運命の伴侶と結ばれない人がいるけれど、それは出会えなかったり、どちらかが既婚者もしくは早世されていたりとか、どうしようもない事情の場合よ』


だから私には恐らく当てはまらないと説明される。

まるで婚姻が決定したかのような物言いに息をのむ。


どうして、こんな事態になるの?


偶然関わっただけ。

初対面の男性が運命の相手だと言われ、回避できないだなんて。

見えないレールに無理やり乗せられて運ばれているような気分になり、ギュッとシーツを強く握る。
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