皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
セレスタ帝国四大公爵家のひとつ、国内安定をはかる宰相を代々司るトゥーイッラ家は表向きはほかの貴族同様メリハ族保護に賛成しているが、メリハ族を毛嫌いしていると噂されていた。

そんな人に先祖返りの姿を見せたうえ、口づけまでした。

見つかって、秘密裏に罰せられでもしたらどうしよう。

最悪の可能性に心が冷える。


では見つからなければ? 

あきらめてもらえるのではないだろうか。

一瞬頭をよぎった考えが名案に思えた。


『母様、私、身を隠したい』


『キラナ?』


戸惑う母に説明する。

運命の伴侶が見つかるのは喜ばしいのだろうが、今の私には恐怖でしかない。

ましてや相手はあのトゥーイッラ魔術騎士団長だ。

彼に会って触れたときの泣きたくなるような想いの正体もわからない。


あれは、彼が運命の伴侶だから抱いてしまう感情? 


この世に誕生したときから決まっている想い? 


そこに今の私の心は関係ないの? 


運命の伴侶同士だから幸せになれるとは限らないのに。

理解も整理もできないことだらけだ。
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