皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
『キラナ、運命の伴侶は私たちメリハ族にとって唯一家族以外で魔力を受け取れる大切な存在よ? 本気なの?』


『母様も、今の私では危険だって言っていたでしょ? 体と心を落ち着けて今より成長してからもう一度会いたい。考える時間がほしいの。運命ならきっと出会えるんでしょう?』


必死に訴えれば、母がハッとしたように目を見開き少し考え込んだ後、深く息を吐いた。


『本当に、いいのね?』


確認されて大きくうなずく。

このまま流されるように、抗えない運命で縁を結びたくない。


『母親としてはきっと正しくないのでしょうけれど……あなたの人生だしきっとワクスも賛成するだろうから』


後は任せて心配せずに休みなさい、と言い残して母は部屋を出ていった。

それから母は迅速かつ完璧に行動した。

診察に来たトルン医師にすべてを打ち明け、トゥーイッラ魔術騎士団長の近況を聞き出した。

あの後目覚めた彼は、やはり私をすぐに捜し始めたが、瀕死状態からの回復で体力も落ちていた。

再び倒れ、皇都に戻って現在治療を受けているそうだ。

あの日私が屋敷に戻れたのは、彼が目覚めて周囲が喜びと混乱に陥っていたかららしい。

母はその機会を利用して素性を巧みに隠し、トルン医師の力も借りて、皇都へのすぐの移動を決めた。

急な引っ越しに伴い勤めてくれていた人々には謝罪し、新しい勤務先を紹介した。

そうして、私の新しい生活が始まった。
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