皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
魔力を込めて調合する母の薬はとても評判が良かった。

この調薬方法は出自を隠すためだというのは母から教えてもらった。

私にも必要な技術であるため必死に学んだが、なかなか難しく修業の日々が続いている。

多くの患者たちは薬に僅かな治癒魔力が込められているのに気づかない。

くれぐれもトルン医師夫妻以外に見つからないように気をつけなさいと注意されていた。

皇都は以前住んでいた場所より怪我人や病人の数は多い。

貧富の差も激しく、治療を求める人は皮肉にも大勢いるのだ。

皇都に越してきてから、家の外に出るときは、髪と目の色を変え、さらに用心のためフード付きの外套も着用している。

各騎士団にもよく出入りするトルン医師によれば、今もトゥーイッラ魔術騎士団長は私の捜索を続け、時間を見つけてはウキヌの森付近を訪れているらしい。

だが近年魔獣の数が増え、ときには森の入口近くにまで出没するようになったそうで、魔術騎士団長として各地の結界強化と視察などの采配、各国との対応協議、連携のため各所を訪れ、多忙な日々を過ごしているらしい。
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