皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
日記の文字よりも弱い筆圧と薄い文字に、母が亡くなる寸前に必死に遺してくれたメッセージだと気づき、こらえていた寂しさや懐かしさ、切なさがあふれ出し視界が滲んだ。

ひとしきり泣いた後、震える手でゆっくり慎重にページをめくる。

分厚い一冊の書物のような日記は、両親との思い出がこみ上げるせいもあり、一度に読み切れず、日々の空いている時間を活用しゆっくり読み進めた。

きっと最初から私にいつか読ませるつもりで書いてくれていたのだろう。

日記というより、語りかけるような文章には驚くべき事実が幾つも記されていた。


【私たちメリハ族の直系は一度縁を結んだ運命の伴侶を失えば、魔力と生命力を補填できず急激に衰弱する。少しなら血縁者から授受できるけれど運命の伴侶には敵わない】


【膨大な治癒力を一度に使えば魔力はもちろん生命力が削られる】


【だからこそ、メリハ族は総じて短命】


一概には言えないが、魔力量が多い者は比較的長命で、百歳を超えてなおも元気な人が多い。

対するメリハ族の平均寿命は半分ほどしかない。

そして、母は私の体が運命の伴侶に過剰に反応しないよう、自身の力を注いでくれていたのを知った。

さらにひとりになる私のため、この日記をはじめ多くの資料、書物を遺すのに多くの力を消費した事実も。

また万が一のため、自身の魔力を練り込んだ薬まで用意してくれていたと知り、母の深い愛情に胸が詰まり、再び泣き崩れた。
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