皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
残り少ない生命力を私に費やしたため、母の寿命は縮まった。

最後の最期まで必死に私を守り抜いてくれた母になにを口にし、どう償えばいいのか。

ただただ、申し訳なさに心が押しつぶされ、日記を読めなくなった。

そんな私の行動を母はお見通しだったのだろうか。

あいにくの悪天候のせいか、来店する人が少なかったある日、時間的にも体力的にも余裕があり、薬の整理と在庫確認をするため薬局の奥の貯蔵室に向かった。

定期的に掃除を含めた確認作業等は行っているが、貯蔵室は広く、確認できていない棚も若干残っている。

今日はその部分を重点的に整理するつもりだ。

作業を進めていくうち、棚の一番奥に隠すようにひっそりと置かれていた薬瓶を見つけた。

手に取れば、瓶には母のお手製のラベルが貼ってあった。

【魔力薬】という薬名の下段に、後悔はしていないからと端的に書かれたメッセージがあった。

すぐに日記に記載されていた薬だと悟った。


……本当に母様には敵わない。


私の葛藤や後悔、言葉にできない様々な感情を理解したうえで遺してくれたのだろう。

薬瓶を胸に強く抱きしめ、何度も感謝の気持ちを口にした。

その日から感謝の思いを胸に再び日記を読み始めた。

全部読み切るにはまだ時間がかかるだろう。

日記に書いてあった、万が一のときに自分を救うための薬作りを会得するため練習するのが、私の新たな習慣になった。
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