皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
時間が取れないことを逆に詫びてくれるおば様に慌てて首を横に振る。

本来は私が伺うべきところを来てくださったうえ、こんな素敵な贈り物までいただいたのだ。

むしろ私が謝ってお礼を告げるべきだ。


「とんでもございません。おば様、いつも本当にありがとうございます。今日はこちらで失礼いたします」


おば様に、母から過去に教わった貴族としての礼をして庭園を出た。

このまま先ほどの部屋に戻って着替えて帰ろう。

おば様の命を受けた侍従が付き添ってくれていたがひとりで大丈夫だからと断り、半ば強引に戻ってもらった。

以前の身分ならまだしも、平民の私をわざわざ狙う人はいないだろう。

トルン医師の執務室にはほかの侍女もいるし場所もわかる。

皇城から自宅への道は通いなれたものだし、変装の魔法もとけていない。

しかも今日は祭りのため、人も灯も多い。

元々地方とは違い、皇都は騎士団が街の巡回を普段から行っているため治安が良い。

とはいえ、ウキヌの森での魔獣の出没以降街中でも稀に魔獣が出没したり、メリハ族の特徴をもつ人をさらう物騒な事件も増えてきたりしているので油断は禁物だ。

一般開放されているのは舞踏会場である中央ホールや庭園、救護室、門付近のみだ。

先ほど私が着替えていたトルン医師の執務室などは関係者以外立ち入り禁止となっている。

すでに一般開放時間は終了し、これからは儀式などの招待客がやってくる。
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