皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「あら、痛みが……」


「固定したからだと思います。あの、人を呼んできます」


早口で誤魔化して腰を上げたとき、男性の声が響いた。


「エリー!」


さらに足音が響いてくる。


「お兄様!?」


「エリー? どこだ?」


「お兄様、ここよ、大きな樹木の根元! 怪我をして動けないの」


プラント公爵令嬢が声を上げる。

するとすぐに夜会服に身を包んだ焦げ茶色の髪の男性が、小型の光を放つ魔道具を手に駆け寄ってきた。


「怪我!? 大丈夫か? まったくお前は、勝手に抜け出して!」


「だってお父様が縁談を押しつけてきたのよ! どうせお兄様も知っていたんでしょ」


「いや、そうだが……父上の気持ちもだな。それより怪我は」


叱っているはずがなぜか押され気味の男性は、どうやらプラント公爵令息のようだ。

ふたりの様子から仲の良さが窺える。

しばらく言い合った後、兄は妹の怪我を心配して再度尋ね、さらに令嬢が事情を話し、私を兄に紹介した。


「ブライアン・プラントだ。妹が世話になった、ありがとう。助かったよ」


「いいえ、もったいないお言葉をありがとうございます。キラナと申します。応急処置はしておりますが、早めに医師に診せていただければと」
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