皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「ブライアン、エリーは見つかったか?」


プラント公爵令息に改めて説明し始めたとき、別の低い男性の声が背後から割り込んだ。

振り返れば、小型の光を放つ魔道具を手にした長身の男性が立っていた。

黒髪に紫色の目の整った面差しで、騎士団の制服と黒いマントを身に纏っている。


――呼吸が止まった気がした。


「アレン、一緒に捜してくれてありがとう」


礼を告げて、プラント公爵令息は妹が怪我をしている旨を話す。

公爵令嬢も兄と同様礼を告げ、三人は言葉を交わす。

一方の私は一気に速まった鼓動を必死に抑える。

間違いない、彼はトゥーイッラ魔術騎士団長だ。

今も若干漏れ出している彼の魔力の気配はよく覚えている。

慌てて視線をそらしてうつむく。

できれば今すぐに逃げ出したい。

彼らに、トゥーイッラ魔術騎士団長に、素性がバレるわけにはいかない。


落ち着いて、変装もしているし大丈夫。


今の私は通りすがりのトルン医師の助手よ。


自分に言い聞かせ、呼吸を整える。


「彼女が助けてくれたのよ」


公爵令嬢から話を聞いたトゥーイッラ魔術騎士団長が、私に目を向ける。


「君のおかげでエリーが助かった、私からも礼を言う」


「も、もったいないお言葉を……」


動揺と緊張を必死で押し隠し、小声で頭を下げたまま返答する。
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