皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「これから、ですか? キラナ様は?」


「休ませておくように……ああ、そうだ」


ギルハンとの会話でなにかを思い出したのか踵を返し、私の耳元でささやく。


「今夜は初夜だ、できるだけ早く戻る」


低く色香のこもった声で告げられて息をのむ。

ドクンドクンと心臓が壊れそうな音をたてた。


「結婚の〝大切な目的〟だからな」


紫色の目に射貫かれ、心が大きく揺さぶられる。

震える指をギュッと強く握りしめ、視線を下に向けた。


「返事は?」


ヴェールの隙間から頬を長い指で触れられて、肩がびくりと跳ねた。


「……お待ち、しております」


「ボルト、花嫁を部屋に」


命令だけを残し、振り返りもせず去って行く。
< 5 / 18 >

この作品をシェア

pagetop