皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
驚いて瞬きを繰り返せば、至近距離にトゥーイッラ魔術騎士団長の端整な面差しがあった。

彼は私に自身の黒のマントを頭からかぶせ、横抱きに抱え上げていた。

細身に見えるが、砦のときと変わらない力強い腕は私をしっかり支えている。


『あ、あのっ……』


『その外見は目立ちすぎる。詮索されたくないだろう』


端的な物言いに周囲の目から隠そうとしてくれたのだと知る。

マントの隙間から少しだけ周りが見える。


『あり、がとうございます。歩けますし、髪色も変えられますから……』


『君を見つけた今、説明と報告をすべき人物がいるため変化は不要だ。傷つけるつもりはないし、痣が痛むなら移動する間休んでおくように』


素っ気なく告げ、視線を外す。

私をおろすつもりはないようで、そのまま力強い足取りで皇城内部へと進んでいく。

ちなみに痣のリボンは取り払われたままだ。

白く大きな扉の前に立っていたふたりの騎士が彼の姿に驚き、声をかけた。


「団長、どうされたんですか? そのご令嬢は……」


「治療院へご案内いたしましょうか」


「いい、トルン医師には連絡ずみだ。お前たちはしばらく外せ」


困惑したような様子の騎士たちだが、上司の命令にうなずき扉を開けた。

室内に案内した後、扉を閉めて退出した。
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